2015年11月21日(土)浅草リトルシアターに行って「艶絵巻」を見てきました。今回(20日〜22日)は4作品から1日3作上演。この日は「外科室」「皮膚と心」「義血侠血」の3本立てで、出演は女優陣が朱魅、灯月いつか、京はるな、土屋麻衣、男優陣が小林歩祐樹、小枝ノリユキ、おちもり(越智裕介+森佳樹)、そして前説は山口六平の皆さんでした。なお「刺青」(牧瀬茜主演)は初日だけだったそうです。以下、上演中なので簡単に。
劇場に着いたのは開場の19:15の少し過ぎ。階段を上がり、受付で笑友会員扱いで3000円。フライヤーを貰って中に入ります。客席には顔見知りも大勢、女性客もいます。私は2列目の中程の席に掛けました。場内には昭和の歌謡曲が低く流れています。
舞台には中央に白い布で覆われたベッドのようなものが置かれています。少し左には黒い四角い椅子のようなものが。
お客は少しづつ増えてきます。
19:30になって山口氏が「どうも、いっらしゃいませー」と言って出てきます。拍手。いつもの金髪ヘアで黒いシャツで手に帽子を持って。
そして簡単な作品解説。1作目は泉鏡花原作の「外科室」で、艶絵巻初参加の京はるなさん主演。2作目は初演になる太宰治原作の「皮膚と心」で灯月あかりさん主演。最後は泉鏡花原作「義血侠血」で朱魅さん主演。途中休憩なしで上演時間は1時間20分ほどだとか。そして写真撮影やケータイ使用禁止など注意事項。あとは時間つなぎに軽い話を少し。
5分ほどしゃべって「…それでは最後までごゆっくりお楽しみください」と言って下がります。拍手。
場内にチゴイネルワイゼンが大きく流れ、少しして場内の照明が急に消えてまっくらに。
舞台に人がはいってきたようす。そして照明がつきます。
ベッドに白い着物を着た伯爵夫人(京はるな)が上体を少し起こすような姿勢で横になっています。その左には白衣を着た医師が腰掛けています。そこへ下手から看護婦(土屋麻衣)が入ってきて、上手の隅で薬剤や器具を扱っているようす。少しして看護婦は下手に向かって深々とおじぎ。伯爵が着物姿で入ってきて、メンバーが揃います。
「外科室」が始まります。
最初は京さんの伯爵夫人は、娘が1人いるという設定にしては、ちょっと可愛いすぎるかな、と思ったのですが
病床にありながらも毅然とした感じの良い声で、しだいに伯爵夫人に見えてきます。
看護婦のマイさんはやはり上手くて、回りを引き上げています。
温厚な伯爵役の小枝さんも良い味を出しています。
台詞は少ないが重要な役の医師を小林さんは独特の存在感で。
そんな芸達者な人たちの中で京さん、(寝たままでほとんど動かない)伯爵夫人を体当たりの熱演で、艶絵巻デビューを立派に果たしてくれました。拍手。
芝居が終わるといったん暗転。
バロックのような曲が流れ、照明がつくと
京さんふりそで姿で立っています。
そして踊りになっていきます。
はじめは静かに、しだいに激しく。
そして帯を解き、着物を脱いでいって
喜び、悲しみ、誇り…言葉で伝えられなかった思いを表していきます。
そんなふうにして終わります。
拍手する間もなく暗転。
ショパンの「別れの曲」が流れてきます。
少しして照明がつくと
舞台に桃色だったかオレンジ色だったか、普段着の和服を着た新妻(灯月)がこちら向きに腰掛けています。そして
「ぷつっと、1つあづき粒に似た吹き出物が左の乳房の下に見つかり…
それがいけなかったようでした…」と独白。
以下、ほぼ原作にそった展開。
体に吹き出物がたくさん出来てしまった新妻の
おどろき、不安、恐怖、絶望、甘え、そして自意識過剰などの混ざった微妙な女心を、笑ってしまうほどリアルに表していきます。こんな作品を書いた太宰もかなり人が悪い(^^)
そしてご亭主との会話。
「よく見せなさい」と言われて新妻
少しづつ着物をはだけて、胸をあらわにしていきます。
このへんのエロス,男女の機微、思いやり、良いですねぇ。
そしてまた女は一人になります。
病気は一向になおらず、考えは悪い方へ悪い方へと向かっていきます。
泣いちゃいけない、こんな醜い姿で泣いたって誰も同情してくれない、もう生きていたくない…
そして泣き出します。
そこへご亭主がやってきてなだめますが
女はますます激しく、子供のように駄々をこねるように泣きじゃくります。これがかわいくて上手い。
そして一緒に病院に行くことになります。
結果は原作の通りですが
そのあと原作にもない粋な結末が。
暗転。
ジャズピアノが流れ、それが切なく激しく展開します。
静寂。
照明がつくと舞台には演台が置かれていて、着物姿のマイさんが艶やかな笑顔で立っています。
そして小説「義血侠血」の冒頭を暗誦すると
「このような書き出しで始まる泉鏡花の「義血侠血」ですが、艶絵巻では大胆な解釈で、前半のあらすじは語りでご紹介し、山場の法廷の場面から始めたいと思います」
と前置きして物語の前半の梗概を一気に語り、一旦引っ込みます。
暗転。
照明がつき、舞台に弁護人,検事,判事、それに被告人が引き出され裁判の場面になります。
そして参考人として滝の白糸が呼ばれます。
滝の白糸(朱魅)が紺色の、下の赤い襦袢がすけて見える着物で入ってきます。
以下、前回の通りですが
朱魅さん台詞もさることながら、台詞のない時の表情が、格段にうまくなった。
最初の済まして入ってくる所、
村越検事の顔を見てはっとして顔をそむける所、
質問に答える時、あえて村越の顔を見ないようにしている所、
そして最後に罪を認めた時のすっきりした顔、
そのあと2人だけになった時の
誇らしげに村越を見上げる目、おだやかな笑顔、などなど。
芝居の後は透明感のある女性ボーカル「美しい星に生まれ…」が流れ
踊りになります。
着物姿で最初はゆっくり
そして帯を解いて赤い襦袢姿に。
このへんで椅子に腰掛けて
簪(かんざし)を抜いて口にくわえます。
簪は単なる飾りではなく、武士にとっての刀のように、誇りそのもの、なのかもしれません。
そして髪を垂らすしぐさが艶(えん)。
再び立ち上がり、襦袢を脱いで静かに踊ります。
終わると、ここでもすぐ暗転になります。
そのあと再びマイさんの語りがあって
静かに終わります。
暗転。静寂。
明るい曲が流れ照明がつきます。
舞台に出演者が全員集合、山口氏が出てきてメンバー紹介。それぞれに拍手。
そんなふうにして盛り上がってお開きになりました。場内まだ興奮さめやらぬといった所です。
このあと京さんの物販があって、「京のできごとオフラインぜんぶ」(1部2000円)。
京さんがこれまで劇場で配っていたマンガを1冊にまとめたものだそうです。私も1部購入しましたが、豪華な装丁でカラーページもたくさん、ほのぼの系キャラがいっぱいで、おもしろそう。業界の資料としても貴重です。
出演の人たちに見送られて劇場を出たのが21:00ちょうど。
やはり11月下旬、少し寒いです。
以上は個人の感想です。勘違い・記憶違いも多いと思います。m(_ _)m
- 11/22 19:18
- 行った人