長文レポのサンクチュアリ
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●「とりかえこ」レポ

2017年10月26日(木)。阿佐ヶ谷アルシェという劇場に行って(ヴァイヤントロープ)第四次思春期公演「とりかえこ」の初日「物陰の怪」を見てき
ました。
(注)取り替え子(とりかえこ、英語:Changeling)とは、ヨーロッパの伝承で、人間の子供がひそかに連れ去られたとき、その子のかわりに置き
去りにされるフェアリー・エルフ・トロールなどの子のことを指す。時には連れ去られた子どものことも指す…(Wikipediaより)なおフェアリー・
エルフ・トロールはいずれも妖精あるいは妖怪。

JR阿佐ヶ谷(あさがや)駅の南口を出て商店街を少し歩き、着いたのは開場の6時半の10分ほど前。隠れ家的な劇場です。入口前には大きな花スタンドが
置かれていて、もう何人か並んでいます。間もなく開場。階段を下りて地下一階。受付で、予約してあったので入場料3000円。フライヤーやアンケート用
紙をもらって中に入ります。小劇場としては広い方か。自由席なので前から2列目に座れました。お客は増えてきてまもなく満席になり、補助椅子も出されま
した。場内は女性客も多く、暖かい雰囲気です。
が(カーテンがないので)舞台を見ると、異様な光景です。荒廃した公園の一角の、廃墟となった洋館か、辺りじゅう枯れ草やゴミが散乱しています。セット
とは思えないほどのリアルさ。ただならぬものを感じます。舞台に段差がなく客席と同じ平面でつながっているので更に怖い。ここで何が起こるのか、起きた
のか…
開演の少し前になって男性が1人舞台に出てきて、ご挨拶と諸注意を言って引っ込みます。
予定の7時を5分ほど過ぎたあたりでBGMが大きくなって、同時に照明が落ちていって場内完全な暗闇に。
静寂。
照明がつくと、舞台中央で若者が、何かわめきながら地面にモノをたたきつけたり荒れている様子。再び暗転。
少しして男女数人が喋りながら〜意見が合っていない様子〜やってきます。いかにも今時の若い人たち。
そんなふうに始まります。以下、ネタバレになるといけないのでストーリーは追わず(実は複雑すぎて追えず)印象だけ並べます。
同じ大学の同級生と思われる男女数人〜中には例によって三角関係あり、別れたい者あり、よりを戻したい者あり〜それにキーパーソンとなる先輩格の男な
ど、がそれぞれの事情から「心霊ツアー」をすることになります。
ホラー、エログロ、サスペンス、SF、ラブコメ、スカトロ、不条理などなど様々な要素が深く複雑に絡まってさながら現代の神話のようです。
観客は(と言っても他の人のことは分かりませんが)人の心の奥底の禍々(まがまが)しいものを見せつけられることになり時に嫌悪感さえ覚えます。
ところが出演者は美男美女ばかり。そして、それぞれが熱いです。
見苦しい者はめいっぱい見苦しく、
情けない者はめいっぱい情けなく、
自己中な者はめいっぱい自己中に、自らを演じます。
そんな中にあって唯一踊り子出身は朱魅(卯月朱美)さんで、女子学生の一人のお姉さんで霊媒師という役。どことなく色っぽいが違和感なくこのホラー劇に
入っています。そして次々に起こる心霊現象を解決しようとするのですが…
これは現実なのか幻想なのか、
そもそも何を恐れているのかも分からなくなって、それも 
外からやってくる怖さ、ではなく
自分の内部にある邪悪なものを知らされるような、
逃げられない怖さ、それが面白いですね。
激苦(ゲキにが)だが香り高いブラックコーヒーのような。
見終わると、良い意味で、疲れます (^^;
ラストで朱魅さんがトレンチコートを着て廃墟の中を一人歩いているシーンは、
(ストーリーは関係ありませんが)映画「カサブランカ」の一場面みたいでかっこよかったです。
「種の保存 絶滅」という謎の言葉を呟(つぶや)いて。
そのあとカーテンコール。拍手。
主演男優さんがご挨拶。劇団の過去の作品のDVDの紹介もあったようです。
そして出演者一同「ありがとーございましたー」大きな拍手。
このあと出演者とお客が歓談できる時間もありました。
私はアンケートを書いて受付で渡し、外に出たのが9時ころ。
この作品もDVD化されることを期待します。

以上は個人の感想です。勘違い・記憶違いも多いと思います。m(_ _)m

- 11/04 03:03
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