長文レポのサンクチュアリ
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●「浅草艶絵巻 9月公演」レポ

2018年9月12日(水)浅草リトルシアターに行って艶絵巻9月公演(9/12〜15)の初日を
見てきました。今回は4作品とも新キャストor新作で、そして4作品どれも怖いです〜オバケが出るわけでは
ありませんが〜それよりずっと怖くて、深くて、そして美しいです。
以下、印象を簡単に。

1「裏紫」樋口一葉原作。出演:美樹うらら、森健太郎
昨年、灯月いつかさん主演でやったもののうららバージョンです。
暗転の中、鬼塚ち○ろの「流○群」が流れ、照明がつくと舞台に
明治時代の若い夫婦。美人でしっかりものの若妻と、優しい夫。仲が良さそうです。
そこへ妻宛に手紙が届きます。姉から急用だとか…そんなふうに、不倫をテーマにした原作に沿って
進んでいきます。
世間的に常識的な生き方をするか、愛に身を任せるか、ハムレットじゃないが悩む若妻。
原作が未完なので、このあとは想像するしかないのですが。
それにしてもうららさんの着物姿、決まっていますね。

2「夜を巡る女 第四話 オレンヂジュース」牧瀬茜脚本・出演
照明がつくと茜さん、舞台中央に、黒のワンピースに黒のハイヒールで笑顔で立っています。
そして独白になります。一人暮らしの女性の何気ない日常。朝のコーヒーにはこだわりがあるとか、
アパートの窓から見える景色とか、などなど。やがて何かの準備をしている、という話になっていきます。
それが何のことだかわからない…うっすらと感じられるが。物語はやがてその何かに向かって
速度を増していきます。終わり近くになってタイトルの意味がわかってきます。
そのあと曲にのって笑顔でダンス。子供のように楽しそうに。

3「其の名も毒婦の 高橋お伝」出演:朱魅
(予習)高橋お伝(1850 ?〜1879)明治期の犯罪者。夫の死後、やくざ者の小川市太郎と恋仲になる。借財がかさみ古物商の
後藤吉蔵に無心。吉蔵は愛人になるなら金を貸すと言い、お伝やむなく同意し同衾。が、翌日になって吉蔵は翻意、金は貸さぬと言う。怒ったお伝は吉蔵を殺
害。逮捕、死刑判決、斬首。これが日本で最後の斬首刑になったという。新聞は彼女を「毒婦」と喧伝。仮名垣魯文は「高橋阿伝夜叉譚(…やしゃものがた
り)」を書く。なおお伝の死体は解剖され、局部はホルマリン漬けになって保存され、後に東京大学医学部に渡ったと言われるが詳細は不明。
お伝への関心は戦後になっても衰えず、彼女に関する多くの小説・漫画・映画が作られている。

暗い中、黒い衣裳の人影が下手からゆっくり入ってきます。意外なスタート。
そして朱魅さん時に黒魔術のように、時にぶっとんだ女講釈師のように、
シリアス・コミカル、シュールおりまぜて「毒婦」高橋お伝の人間像に迫ります。
はたしてお伝は本当に毒婦だったのか。
(私的には、グイド・レーニの絵で有名なベアトリーチェ・チェンチの悲劇と少し重なります)
ラストの踊りの時の朱魅さんのピュアな顔が印象的でした。

4「如実知自心(にょじつちじしん)」鈴木ちさ脚本・出演:鈴木ちさ、森健太郎、蒼井遼
照明がつくと現代のリビングに、ユキナ(鈴木)とトシ(森)の夫婦。たわいのない会話。
玄関のチャイムが鳴り、1人の若い僧侶(蒼井)が表れます。トシの弟で、修行から帰ってきたとか言いますが、
どことなく影があります。
そしてトシが席をはずした時に、ユキナに「今日はあなたにお話があって来ました」
ユキナ「?」こんなふうに始まります。
物語は急展開。SFなのか、あるいは夢の中なのか。これがヒプノセラピー(催眠療法)の世界なのか…
そして流れる絢○の「やさし○蒼」の歌と一つになって、希望の見えるラストに。
「如実知自心」〜あるがままに〜の意味が少しわかってきますが、
鈴木ちささん毎回予想外なストーリーで艶絵巻に新風を吹き込んでくれますね。

なお艶絵巻、次回は11月7日(水)〜10日(土)出演:朱魅、鈴木ちさ、黒崎優、さかき藍、川合瑞恵の予定。
12月はお休みして、来年から毎月公演になるそうです。
以上は個人の感想です。勘違い・記憶違いも多いと思います。m(_ _)m

- 09/16 10:45
- 行った人


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