2015年8月28日(金)浅草リトルシアターに行って「浅草艶絵巻〜日本文学と女の情景」を見てきました。艶絵巻シリーズは今年は4月から毎月上演されていますが、その8月公演の初日です。
今回(8月28日〜30日)は「卒塔婆小町」「班女」(はんじょ)それに新作の「にごりえ」の3本立て。出演は
女優陣が牧瀬茜、朱魅、灯月(ひづき)いつか、土屋麻衣(マイ)、男優陣が小林歩祐樹、清田裕也、小枝ノリユキそして山口六平の皆さん。上演中なので以下,簡単に。
小雨の中、劇場に着いたのは開場の19:15の少し前。入口前には行列が出来ています。そして開場。すぐ満席に。
19:30予定通り開演。山口さんの前説に続き3作品が途中休憩なしで上演されます。
1「卒塔婆小町」能を元にしたシュールな物語。
赤い襦袢の少女(灯月)笑顔で登場、1曲踊ります。そこへ腰の曲がった老女(小林)が杖をついて登場。自分は絶世の美女とうたわれた小野小町のなれのはてだと名乗ります。ちなみに少女は若い頃の小町。同時に存在しているわけです。老女は深草の少将の想い出など話します。99日通ってきたが百日目には来なかった…話しながら卒塔婆の上に座って眠り込んでしまいます。少女は起きたまま。そこへスーツの男がやってきて自分は深草の少将で小町を迎えに来たとか言います。三島由紀夫の戯曲とは関係ないと言いながら、やはり少しは影響があるようです。
芝居の後は灯月さんのダンス。
2「班女」。能を現代に置き換えた心温まる物語。
薄暗い照明の中で、地味な服装の女、花子(朱魅)が愁いの表情。急に照明が明るくなり、やりて姐さん(マイ)が登場。「いつまでメソメソしてるんだよ」と花子を叱咤激励。ふっきれた花子、急に元気になってセクシーな衣裳に着替えます。
さて客引きに出た姐さん、若い男をつかまえ、花子の部屋に案内します。顔を会わせた2人、驚きます。かつての恋人だった!
実は男はコンビニ強盗をして逃げている所だが、自首して刑期を終えたらまた会おうと言います。
花子は自分もこの稼業から足を洗って待っていると言います。そしてその日から客を取るのをきっぱり止めます。
姐さん「男なんか口先ばかりで信用できない」。が、花子はあくまで待っていると言います。姐さん「それではこの店には置いておけない出てお行き」と言いますが、別れぎわ、「しあわせになるんだよ」と固くハグ。
何ヶ月か過ぎ、男が再び店にやってきて姐さんに花子のことを尋ねます。姐さん「知らないよ」と言いますが…
生き別れになった男女が扇子が縁で再会、というのは原作どおりですね。
芝居の後は朱魅さんのダンス。
3「にごりえ」樋口一葉原作、牧瀬茜脚本、山口六平演出。メンバー総出演です。
ヒロインお力(おりき)はもちろん牧瀬さん。この人はとにかく多才な人ですね。
お力の仕事仲間のお高(おたか)は朱魅さん。原作より台詞が多く、お力の良き友人となっています。
灯月さん、田舎娘で風呂敷包みを持って、鳥打ち帽の男(薬の行商人,実は女衒(ぜげん)に連れられて出てきます。この2人、原作にはない登場人物ですが違和感なく物語世界に入っていきます。
結城朝之助(とものすけ)は山口さん。落ち着いた良い味を出しています。
源七の妻お初(おはつ)はマイさん。地味でまじめで内職をして家計を助けている健気な女房を好演。「班女」の姐さんとは正反対の立場の役ですが、どちらもこなしているのはさすがです。
そんなふうにメンバー総出演で物語は進んでいきます。そして事件は起こります…
芝居の後は牧瀬さん朱魅さん灯月さん3人のダンス、やがて牧瀬さんが残ってソロになっていきます。
そのあとカーテンコール。
山口さんが出演者を順に紹介し、拍手のうちに終わりました。21:15頃。
それぞれの作品、原作通りではないですが、ある意味でかえってよく原作の世界を色鮮やかに蘇らせてくれました。
以上は個人の感想です。勘違い・記憶違いも多いと思います。m(_ _)m
- 08/30 01:20
- 行った人