長文レポのサンクチュアリ
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●「浅草艶絵巻 6月公演」レポ

2016年6月23日(木)浅草リトルシアターに行って艶絵巻の2日目を見てきました。
今回は「袈裟と盛遠」「卒塔婆小町」「にごりえ」の3本立て。出演はおなじみ女優陣が牧瀬茜、朱魅、灯月いつか、つちやまい、和田渚、男優陣が小林歩祐樹,小枝ノリユキ、(おち・もりの)越智悠介、森佳樹、演出並びに司会は山口六平の皆さん。以下、簡単に。

劇場に着いたのは夕方の7時丁度。入口に人が並んでいます。間もなく開場。受付で、笑友会員ということで入場料4000円が3500円に。私は2列目の左の方の席に座り、のんびり開演を待ちます。

そうこうするうちに7時15分になり
山口六平氏がいつもの金髪頭にTシャツにジーンズで登場。拍手。
そして演目の紹介。1番目は先月から始まった芥川龍之介原作の「袈裟(けさ)と盛遠(もりとお)」。次が去年やった「卒塔婆小町」のリメイク版。ラストが樋口一葉の「にごりえ」で、全部終わるのが9時くらいとのこと。それから、おち・もりの2人は漫才の方が忙しくなって、艶絵巻に出るのは来月あたりまでになりそうだとか。
などなど5分ほどしゃべって引っ込みます。拍手。

少しして、不安を表すようなBGM。作品世界への導入です。それがしだいに大きくなり同時に照明が消えていって真っ暗に。そして静寂。
照明がつくと(あまり明るくはならない)
上手に若い武士の盛遠(小林)が太刀を持って登場。「もう月の出だな。いつもは月が出るのを待ちかねる俺も、今日ばかりは明るくなるのがそら恐ろしい…」と独白。
以下ほぼ原作どおりの展開です。芥川の作品の中ではおそらく最も、暗くて深い大人の物語。
日本の話ですが、シェークスピア劇のように、登場人物が自らの行動に理論づけをしようとしたり、自虐と思われるほど恐怖し懊悩しあるいは自嘲し、運命(あるいは業?)と格闘します。小林氏、男の色気いっぱいに熱演。
第2景。袈裟(灯月)が登場。すでにこの世のものとは思えない凄みがあります。振り向くと、能面を思わせるようなメイク。怖い、けど可愛い。そして「あの人は来るのかしら 来ないのかしら…」とこちらも独白。
同じ事件でも関わった人によって見方が違うということでは(映画「羅生門」の原作になった)「薮の中」と同様ですが、深さが違います。女はつぶやくかと思えば絶叫し、嘆き、怒り,時に笑い、語っていきます。そして…
この2人の、超逆説的な愛の物語、どちらかが、どちらかの掌(てのひら)の上?

暗転。
ジャズが流れ、舞台が明るくなると
下手から頭にスカーフをかぶった(グリム童話に出てきそうな)白髪の老婆(朱魅)がやってきて、
「華やかな時がありました…」とひとりごと。老婆声が上手い。
そして自分は絶世の美女ともてはやされた小野小町のなれのはてだと言います。
九十九夜通ってあと一夜というところで死んだ深草の少将の想い出も。
語り疲れたか、道端の卒塔婆に腰掛けます。
ここで
セーラ服のつちやまいさんと、
豹柄ボディコン衣裳の和田渚さんが登場。(原作では高野山の僧2人)今回、渚さんも巨乳が判明(^^)
煩悩とどう向き合うか、という仏教の永遠のテーマについて論争するわけですが、芸達者なお二人、コミカルでセクシーで、安心して笑わせてもらえます。
小町の老婆「極楽の内ならばこそあしからめ 外は(卒塔婆)何かは苦しかるべき」
(原作では、卒塔婆に腰をかけるとは不謹慎だと高野山の僧に批判されたことに対し、極楽の中でならダメかもしれないけど、外では何も問題ないでしょ」と茶化した歌)
そこへ深草の少将(小枝)がタキシード姿で現れて…

暗転。
最後は「にごりえ」
何度見てもいいですね。オールスターキャストです。お一人づつ簡単に。
牧瀬茜(お力)薄幸だが自分の生き方を貫こうとする女は超はまり役。目が輝いていますね。
朱魅(お高)一本気な性格の、主人公の友だちを、演技か地か分からないほど自然な演技で。
灯月いつか(お久)純な田舎娘役が似合う。泣く場面がうまい。
つちやまい(源七の女房お初)芸域の広い人ですが、ここでは庶民の女房という平凡な、ある意味で一番むずかしい役を好演。
和田渚(菊乃井の姐さん)こちらも芸域の広い人ですが、客相手の時は色っぽく、仕事仲間と話す時はクールに、と使い分ける、いかにもいそうな人をそれらしく。
小林歩祐樹(結城)1作品目が熱演だったので、ここは肩の力を抜いて。それがかえって良い芝居に。 
小枝ノリユキ(源七)ここではお笑いの顔は一切見せず、無骨な日本の男に徹してシリアスに。 
越智悠介(薬の行商人、実は女衒(ぜげん))悪人がはまり役。演技ではできないという説も(笑)
森佳樹(信さんと呼ばれるなじみ客)ごく普通の人をごく普通に好演。
それぞれの人間に言い分があり、それぞれが重い人生を背負っています。 

そんなふうにして芝居が終わると牧瀬さんのダンスになり、引き続きフィナーレ。山口さんがやってきてメンバー紹介。盛り上がって終わりました。拍手。9時丁度。

以上は個人の感想です。勘違い・記憶違いも多いと思います。m(_ _)m

なお浅草艶絵巻、次回は7月27〜30日、8月は24〜27日だそうです。

- 06/26 18:34
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