長文レポのサンクチュアリ
[投稿する]
●「浅草艶絵巻 5月公演」レポ

2018年5月16日(水)浅草リトルシアターに行って艶絵巻の初日を見てきました。
新作を含む4本立てで、それぞれ見応えがありました。以下、簡単に。

1「戦争と一人の女」坂口安吾原作。出演:川合瑞恵(かわいみずえ)
昨年9月、灯月いつかさんが演じた作品に、今回初出演の川合瑞恵さんがチャレンジします。
暗転の中、空襲警報のサイレン。やがて、燃える街を表すような赤い照明。舞台中央に白い簡単な衣裳の女が立っています。
そして「夜の空襲はすばらしい…」と独白。
そんなふうに始まります。
坂口安吾の小説を20分に凝縮。極限状態での女の生と性。一方でその極限状態を楽しんでいるような。
軽々にわかるとも、軽々にわからないとも言えない世界。
それにしても川合さんの表現力はすごいですね。声・表情・体のすべてを使って。
なお川合さん7月7日(土)DX歌舞伎町の「カタルシス」で「戦争と一人の女」を再び演じるそうです。

2「夜を巡る女」牧瀬茜脚本・出演
「夜を巡る女」シリーズ昨年11月バージョンの改訂版です。より緻密に、より艶やかに。
茜さんキャリーバッグを引いて入ってきます。そして化粧前を作り踊り子衣裳をつけながら問わず語り…
ファミレスで働いていた頃、同僚に誘われて見に行ったストリップ。そこの社長にスカウトされ、踊り子になった。
やがて子供が生まれ、踊り子をしながら育てた。その娘も二十歳、親元を離れる時が来た…
踊り子の生活や心理など観察が細やかで、そして暖かい。観客はすっかり茜さんの世界に引き込まれてしまいます。
衣裳はつけ終わったようです。
そしてダンスになっていきますが、今まで見た茜さんのどの踊りより艶やかで大人の色気を感じました。

3「いつも一緒にいたかった」鈴木ちさ脚本・主演。(出演は他に中谷中(なかたに
ちゅう)、モリケンこと森健太郎。なお中谷氏は艶絵巻初出演ですが、浅草リトルシアターで時々公演している演劇ユニット「レバ刺し☆HOPPI」(通称
レバホ)のメンバーでもあります)
暗転の中、プリンセス2だったかしら、タイトルになった曲が流れ、照明がつくと
鈴木ちささん幼女の衣裳で登場。そして父親役の中谷氏と掛け合いになります。ちょっとおませでファザコンな娘と、いたって好人物な父親。そんなふうに
ホームドラマのように始まります。
この後ちささん少女、そして大人の女性と、成長していく姿を演じ分けています。女子高生の時のセーラー服が似合っていた(^^)
後半カフェの店主役でモリケンがチョイ登場、笑わせてくれます。
コミカルとシリアス、かすかにサスペンス。そしてラストはハートウォーミングに。
「夜を巡る女」が母娘がテーマだったのに対し、ここでは父娘がテーマになっていますが、
登場しない母親のことを色々想像するのも楽しみです。

4「蜘蛛の糸」芥川龍之介原作。出演:朱魅、森健太郎
朱魅さんこの作品は久しぶりですが、今回はナレーションの大役にチャレンジ。
暗転の中、妙なる音楽が流れ、照明がつくと朱魅さんインド風の衣裳で神々しく登場。そして
「ある日のことでございます。お釈迦様は極楽の蓮池のふちをお歩きになっていらっしゃいました。…」と暗唱していきます。
後は原作に沿って展開。
地獄の場面ではモリケンがカンダタの役を体当たりで熱演。
朱魅さん時にお釈迦様の気持ちになったり、時にカンダタの気持ちになったりして、観客を極楽や地獄に誘(いざな)います。
そして物語はごぞんじの結末を迎えます。
語り終えると、ここで「Stand Al○ne」が流れ、朱魅さんのダンスになります。すべてを大きく包み込むような、
言葉では語られなかったものを踊りで表しているような。もしかしたらカンダタに、あと1回チャンスが与えられるのではないか、なんて思えてきます。

なお艶絵巻次回は7月11日(水)〜14日(土)で、出演女優は朱魅、鈴木ちさ、黒崎優、黒井ひとみの皆さんだそうです。

- 06/17 13:22
- 行った人


0.HOME