長文レポのサンクチュアリ
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●「浅草艶絵巻 3月公演」レポ

2016年3月25日(金)浅草リトルシアターに行って艶絵巻を見てきました。
今回の演目は今までに見たものばかりでしたが、新しい演出もあり、何より主演女優たちの演技が飛躍的に向上。感動的でした。出演は女優陣が牧瀬茜、灯月いつか、朱魅、つちやまい、初出演の和田渚(わだなぎさ)、男優陣が小林歩祐樹,小枝ノリユキ、(おち・もりの)越智悠介、森佳樹、演出並びに司会は山口六平の皆さん。以下、簡単に。

劇場に着いたのは開場の7時15分の少し前。入口に人が並んでいます。間もなく開場。受付で、笑友会員ということで3500円が3000円に。場内は良い席はもういっぱい。女性客も何人か。私はかろうじて1列目の右の方の席に座れました。のんびり開演を待ちます。
場内には昭和の歌が流れています。

そうこうするうちに7時半になり
「どーもこんばんはー」と山口六平氏が登場。拍手。
そして演目の紹介。今日は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、太宰治の「皮膚と心」、落語の「品川心中」、休憩をはさんで樋口一葉の「にごりえ」の4本立てで、全部終わるのが9時半くらいとのこと。
「何とかそれ以内に終わるようにします」(笑)
ということで前説は早めに切り上げて引っ込みます。拍手。

しばらくBGMが流れ、それが大きくなり同時に照明が消えていって真っ暗に。そしてBGMも止みます。静寂。
少しして妙なる音楽が流れ、照明がつくと
牧瀬さん深紅のドレス〜かすかにエキゾチックでセクシーな〜で立っています。そして
「ある日のことでございます。お釈迦様は…」と
にこやかに語っていきます。
あとはご存じ「蜘蛛の糸」の物語ですが
語り手の牧瀬さんが次第にお釈迦様と重なって見えてきます。
第2景
地獄の場面です。牧瀬さんレポーターのように実況中継。
カンダタ役のつちやまいさん体当たりの熱演。
第3景
再び極楽。
「お釈迦様は、この一部始終をじっと見ていらっしゃいましたが…」
そんなふうに語り終わります。
舞台中央に立った牧瀬さん。
ここで音楽「Stand al○ne」が流れ
お踊りになります。牧瀬さん
優雅に舞いながらドレスを脱いでいって、そして
盛り上がったところで観客は一瞬、宇宙と一体になったような感覚に。
そして静かに終わります。拍手。
暗転。

ピアノで「別れのエチュード」が流れます。以下この演目ではクラシックが効果的に使われています。
照明がつくと
灯月いつかさん淡い桜色だったかしら、着物姿で椅子にきちんと腰掛けています、そして
「ぷつっと一つあずき粒に似たふきでものが…」
と独白していきます。
まだ幼さの残る新妻のようですが、
体に出来た吹き出物のようなものが広がっていくのを
滑稽なほど恐れている。
やさしい夫役を「おちもり」の「もり」=森佳樹氏が好演。
見せなと夫に言われた新妻が、恥じらいながら着物を脱いでいくところはBGM(パガニーニの主題による狂詩曲)と相まって名場面です。そのほか
子供のように泣いたり、
かと思うと「ボヴァリー夫人」に自分を重ねたりと、大人の女の面をのぞかせたりもします。
そして夫婦で医者に行くことに。
ここは皮膚科だけでなく「とても平気で言えないような、いやな名前の病気」も専門らしく、
新妻さんの妄想は更にふくらみます。
出番は少ないが医者の役を「おちもり」の「おち」=越智悠介氏がそれらしく。
ラストはハートウォーミングな結末に。パッヘルベルのカノンがまた効果的。
「おい、待てよ」と夫が追っていくところで暗転。
(踊りがないので拍手するきっかけがちょっとつかみにくいですね(^^)

ジャズのような曲が流れ、照明がつくと
小林歩祐樹氏が羽織り姿で登場。立ったまま
「エー江戸は幕府公認の吉原以外にも品川・新宿・板橋…と岡場所がありまして、中でも品川は東海道の最初の宿場ってんでにぎわっておりまして…」と噺家のように語っていきます。中々の名調子で、舞台となる品川の説明。
そこの店のお染は板頭(いたがしら)、吉原で言えば花魁,今で言うナンバーワン、だったのですが
花の命は短くて、今ではすっかりお茶をひいて、紋日(もんぴ)に必要な50両の金が用意出来ない。
生き恥をさらすのはプライドが許さない。いっそ死んでしまおう。しかし一人で死んだのではいかにも金がなくて死んだみたいだから心中にしよう。相手は誰がいいかなということになります。
ここで下手からお染姐さん(朱魅)登場。
やや年増ふうメークで、少し着くずした着物。これがかえって可愛い。(^^)
御ひいき帳を見ながら誰にしようか考えています。
同じ心中がテーマでも近松の世話物と180度違ってコミカル。
けっきょく貸本屋の金蔵にしようということになり、恋文を書きます。筆でサラサラと
「恋しい恋しい金さんへ…」
書きながら自分で笑ったり舌を出したり。
手紙を受け取った金蔵(小枝)すっかり真に受けて有頂天。
そんなふうにほぼ落語の通りに進んでいきますが
勝ち気なお染は朱魅さんの超はまり役。いっぽうバカだけど憎めない金蔵を
小枝氏が「義血侠血」の判事の威厳はかなぐり捨てて大熱演。
語りを兼ねた店の兄さんを小林氏が、これもはまり役。 
ラスト近くなってお染は金蔵の尻をけっとばして品川の海にザッブーン(笑)
直後、店の兄さんに引き止められます。
兄さん「御前から金が届きましたから」
お染「もうちょっと早く言ってくれればよかったのに。一人つき落としちゃった」(笑)そして
「ごぜんー!」とめいっぱいの作り笑顔で駆けていきます。さて金蔵の方の運命は。
一旦暗転。
「お染ねえさんいらっしゃいましたー」と声。
照明がつき、
ロック調の「会津磐梯山」がにぎやかに流れ
朱魅さんちょい派手な着物姿で頭に桜の花枝を挿して登場。踊ります。
乗りよく、いかにもストリップのダンスショー。手拍子・タンバがほしい所です。
踊りながら着物を脱ぐと朱色の襦袢。やがてそれも脱ぐと赤いふんどしで、おしりに桜の花枝を1本挿しています。これが粋!そして花枝を抜くと客席に向かってぽーん。
踊りは日本民謡にラテンの乗りが加わっていきます。
そんなふうに盛り上がって終わります。拍手。
暗転。
すぐ照明がついて、ここで5分ほど休憩。

後半になります。舞台暗転。
少しして、もの悲しくそしてどこかなつかしいような曲が流れてきます。
照明がつくと、上手から田舎娘のお久(灯月いつか)何も知らず嬉しそうに歌を歌いながらやってきます。連れは薬の行商人、実は女衒(ぜげん)(越智悠介)。この2人は原作にない人物ですが重要な役割です。そして2人去ります。
次の場面。東京の下町の銘酒屋、菊乃井の店先。
客(森佳樹)と店の女将(和田渚)の会話があったり。そして主役の
お力(牧瀬)とお高(朱魅)が出てきます。
この同僚2人の会話はそのまま恋愛論・人生論になっていきます。
そして金持の男、結城が現れます。
(前回は山口氏でしたが今回はちょっと若くなって小林氏)
場面かわって源七(小枝ノリユキ)の家。
女房のお初のつちやまいさん実にうまいですね。そして夫婦喧嘩。
源七は相手の言う事がもっともであるだけに、後には引けず、別れると言ってしまいます。
このあと原作にないエピソードを交えながら物語は終末に向かって加速していきます。
最後にお力の呆けたように(しかし全てを受け入れたように)立っている姿が印象的でした。
暗転。
にぎやかな曲が流れ、
登場人物が一人づつちょっと気取って踊りながらやってきます。
最後に山口氏がやってきて10人全員集合。メンバー紹介になります。それぞれに拍手。そして
山口「来月(4月20〜23日)は艶絵巻1周年ということで
主演女優は今日の3人に加え、京はるなさん、初出演になるRIKAさん鏡野有栖さんを含めて6人になります。新作を含めて6演目、ご予約はお早めに」ということでした。

場内ざわざわ。出演者と話している人、差し入れを渡す人、握手してもらっている人、いつもの光景ですね。
劇場を出たのは9時半少し過ぎ。寒さは感じなかったです。

以上は個人の感想です。勘違い・記憶違いも多いと思います。m(_ _)m

- 04/03 16:01
- 行った人


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