長文レポのサンクチュアリ
[投稿する]
●「浅草艶絵巻 3月公演」レポ

2017年3月15日と22日、浅草リトルシアターに行って艶絵巻の前半と後半の初日を見てきました。今月の演目は新作2点を含む4作品でしたが、
前半(15日〜19日)は「トキのはなし」「淪落」「金色夜叉」
後半(22日〜26日)は「芋虫」「淪落」「金色夜叉」 
明治・昭和初期・終戦直後そして平成の現代と、各時代を生きた(生きている)女たちの物語。艶やかでした。以下、公演中なので簡単に。

○新作「トキのはなし」(牧瀬茜原作)出演:牧瀬茜、小枝ノリユキ、つちやまい
暗転の中、「卒業○真」のインストルメンタルが流れ、照明がつくと牧瀬さん黒いシックな服で立っています。久しぶりに母校(名門女子高みたい)を訪れたフジコです。そして恩師(小枝)と再会、しばし昔話に花が咲きます。やがて話題はフジコの親友の「トキちゃん」のことに。
なおトキちゃんは最後まで登場しませんが、キーパーソンです。
そのあと後輩のミヨコ(つちや)が登場、△関係(?)に。可愛いぶりっこのイヤな女をまいさん超好演。
コミカルでちょっと毒のあるおしゃれな作品でした。それにしても牧瀬さん、人間の心理を熟知していますね。

○「芋虫」(江戸川乱歩原作)出演:黒崎優、森健太郎
1月の再演です。出征する夫(須永中尉/森)を見送る妻(時子/黒崎)の場面から始まります。
妻「どんな姿になっても生きて帰ってきて下さいね」
そして戦場の場面。前回では果敢に闘っていましたが、今回は恐怖におののく姿といった弱い面が描かれていたように思います。そして…
反戦・エログロ・障害、介護など様々な問題提起を含み、誤解や弾圧を受けながら生き残ってきた作品、すごみがあります。

○新作「淪落(りんらく)」(林芙美子原作)出演:灯月いつか
「赤いリンゴに唇寄せて…」が流れ、照明がつくと灯月さん下着姿で口に歯ブラシをくわえて気怠(けだる)く登場。寝起きのようです。そして
「私ね、家の人にないしょで東京へ出てきたの…」と独り芝居になります。時代は終戦直後。
田舎から東京にあこがれて単身上京、そして「ホール」の踊り子として働くようになった経緯をほぼ原作どおりに語っていきます。
いろんな男たちとの出会いと別れ、妊娠…今日的な、と言うより普遍的なテーマです。
語りながら少しづつメークが出来上がり、着替え終わります。ラストはちょっとハートウォーミング。
なお淪落とは「落ちぶれること。堕落すること(広辞苑)」だそうですが、真に「淪落」しているのは主人公モモコではなく回りの男たち、のように私には思えます。

○「金色夜叉」(尾崎紅葉原作)出演:朱魅、大橋健太郎
今回でラストということ。そのせいか更に熱く、濃い演劇空間がかもし出され、
各場面場面がまさに絵になっていました。
芝居の後の踊りでは朱魅さん着物姿で静かに始まり
やがて微かな笑みが。ここで観客が涙目に(^^;
そして喜びも悲しみも、生も死も超えた救いのあるスケールに。
「金色夜叉」おつかれ様でした。

なお来月の浅草艶絵巻の演目は
4月12日〜16日は、八百屋お七(朱魅)袈裟と盛遠(灯月いつか)外科室(美樹うらら)
4月19日〜23日は、八百屋お七(朱魅)淪落(灯月いつか)夜を巡る女(牧瀬茜、原作も)だそうです。( )は主演

- 03/23 21:59
- 行った人


0.HOME