【新野美穂さん】SNAで拝見したデビュー作を再見。顔の下半分を覆うヴェールがなくなり‥盆つきでスタートする際に、客席に背を向けて前屈みになっていたのがこちら向きになっているなど‥若干の変更が見られた。正面を向いた深い前屈姿勢が礼を尽くしている様にも見えて、観ているこちら側の背筋もシャキン‥と伸びる感じ(笑)。緊張を和らげるヴェールの向こうの「口ずさみ」を必要としないほど、ステージにも劇場にも馴染んでいる様な印象を受けたけど‥体力的には、ちとツラそう。デビューして間もなくの連投で「疲れ」が出て来ているのかも知れない。
【安田志穂さん】顔の半分以上を覆う黒のドミノマスクに、シースルーの布を重ねたポンチョを身に纏い‥本舞台に跪いている。杖の様に床に突き立てられた‥弧を描く細い刀身に刻まれたレリーフ。ふいに立ち上がり‥見えない「何か」と激しく刃を交える。闘いに敗れ、崩れ落ちる彼女から弾け飛ぶ‥刀剣とマスク。再び手に取ろうとするも「見えない力」に阻まれて、それも叶わない。髪を振り乱して身悶える彼女。時に顔の表情を覆い隠し‥時に御簾の様にその向こうに濡れた瞳を垣間見せ‥時に舞台に横たわる彼女の、汗で濡れる額にべったりと貼り付いて見せる‥。美しく整えられた髪をステージで見る事はあっても、ここまで乱れに乱れた生々しい表現を見る事は「稀」だろう。何だか神話を見ているみたいだ。型に嵌まった振りもなく、手拍子も拍手もない‥。どこまでも美しく登り詰めてゆく演者の高揚と没我。ただひたすら視るだけの存在に純化してゆく観客の心象。これは本当にストのステージなのか。名優=安田志穂のナビゲートする物語世界は観る者の心を鷲掴みにして‥離さない。
【初芽里奈さん】途中、チェック柄の厚手のシャツをパジャマ代わりに羽織るシーンを除けば‥衣装は様々な「白」のバリエーション。相方のテディベアとの可愛らしい絡みにも見覚えがあった。イメージとしては、雪がしんしんと降り積もるホワイト・クリスマスといった所だろうか。この季節になると掛かる定番の演目なのかも知れない。
- 12/12 18:35
- くるりん