浜劇
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●柏木由紀奈さん 2014-0728 [3rd][4th] stage

本舞台中央の椅子に腰かける柏木由紀奈。タイトな身頃の白いワンボタン・ジャケットの下にはシンプルな白いプリーツブラウス。足元迄を覆うロング丈‥カーキ色のスカートに、たすき掛けされたとても小さなポシェット。立ち上がると、伸びやかで‥かつキレのある舞いを披露する。しなやかに撓むカーボンロッドの竿を思わせる‥溜めたチカラを要所要所で解放してゆく様なムーヴはかなり「独特」で、観る者の視線を否応なしに惹き付ける。続く衣装は、くすむオフホワイトの地に滲む水彩で描かれたセピア色のダリア‥昭和レトロな和装ドレス。帯を解きながら軸のブレないターンを決めたり、予め帯の下に仕込んでおいた白い帯を2本‥新体操のリボンの様に宙を泳がせたり。「脱ぎ」を見せ場にする卓越したパフォーマンスで魅せてくれる。ベッド入りはシンプルなサテン地のスリップ姿で。たくしあげてミニドレス風にしてみたり‥脱いだスリップに爪先を引っ掛けて盆の縁を舐める様に旋回させ、そのまま本舞台に置き去りにしたり‥と、ここでもまた「脱ぎ」で魅せる。この後に続くポーズベッドが特に素晴らしい。爪先立ちからのY字バランスは、そのまま流れる様にアラベスクに。また、爪先立ちした足をクロスさせるとそのままゆっくり身体を沈め、その動きにシンクロさせつつクロスした足の片方を前に突き出してみせたり。四つん這いからスムーズに伸び上がると手は床に、足は爪先立ちになり、その体勢から悠然とステージを練り歩く姿が「ネコよりもネコらしく」見えたり‥と、多分彼女以外には表現できない「超絶技巧」のアラカルト。静かに‥だけど目まぐるしく変転するムーヴの中にあって、一見「無表情」にも見える彼女の瞳が潤んでいる。ピン、と張り詰めた感情の堰は‥表面張力でギリギリの均衡を保つ水面の様に危うい。彼女の様な人をどう形容すれば良いのだろう。単なる優等生でもなければ、天才‥というのもちょっと違う気がする。月下に咲く夜行性の妖しい花びら‥柏木由紀奈。「異能の人」である事だけは、間違いないのだけれど。

- 08/12 14:00
- くるりん


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