背筋を伸ばし、盆の中心で片膝をついてスタンバイしている。傍らには淡いピンクの風呂敷包み。立ち上がると淡いオレンジの地に水彩画風のタッチで枝花が描かれた美しい着物姿。細いゴールドのラインで型押しされたモノグラム柄の黒い帯を締めている。風呂敷包みを携えて、盆から花道〜本舞台を廻る優美な舞い。が、途中‥本舞台で、まるで「風呂敷包みが突如として意思を持ち、彼女を引き廻している」かの様な不自然な動きを見せる。見えない強い力に引き摺られ、振り廻され、きりきり舞いさせられながらも一連の「動き」は日舞風のしっとりした仕草や所作に上手く収斂されていて、何ともエレガントだ。暫くすると本舞台と花道の際の辺りに風呂敷包みを置いて、その傍らで舞い始める。ある程度の距離を置きながらも常に視界の端に留まる風呂敷包みを意識させられながらの舞いは「踊っている」というよりも、何だか「踊らされている」みたいだ。やがて風呂敷包みの側に膝を揃えて座り、シュシュッと衣擦れの音を立てながら包みを解き、薄い化粧箱の中に収められていた「白塗り」の狐の面を取り出して顔の側に掲げる。立ち上がって着物を脱ぐと袖口と背中に枝葉のシルエットが黒く描かれた白い肌襦袢姿に。面を被り、盆に至る花道の途中でしどけなく前をはだけるとシースルーの白い下穿き姿になって静々と歩を進め、ベッドショーへ。三点支持やL、シャチホコ、四つん這い+片脚後方突き出し‥等々のポーズが決まる瞬間に狐の面をサッと掲げ、優美にしてスタイリッシュな連続ポーズベッドで魅せる。中でも両手放しブリッジから片手で面を差し上げる場面では、それまでショール代わりに被っていたシースルーの下穿きがシンクロしてハラリ‥と落ちるなど、思わず息を呑む美しさ。最後はそのショールを頭上に掲げて静々と花道を下がり、本舞台へ。薄明かりの中、面を着けたままでゆっくり、雰囲気たっぷりに舞い収めると、そっと面を外して顔の側に掲げて‥艶やかな表情での「終幕」となる。
- 09/10 17:25
- くるりん