身体にぴったりフィットする、オレンジ色のジャンプスーツ。フルジップすると首筋から胸元‥オナカ‥そして股間を過ぎてヒップ上端に至るファスナー。僅かに開いた胸元から、押し込められた‥たわわで豊かな乳房が覗いていて、見るからに窮屈そうだ。足元は踵つきの黒いロングブーツ。辺りを見渡すと足音を忍ばせつつ、身体を翻す。スパイ物のドラマ仕立ての様なナレーション。「ひとりキャッツアイ」なのか「実写版/峰不二子」なのか‥といった趣きの女盗賊ストーリーが展開する。獲物は本舞台右側の‥台座の上に設えられた小さなジュエリーボックス。蓋が開いていて、ゴージャスな輝きを放つティアラが鎮座している。様子を窺いながらひとしきり舞うと側に擦り寄り、指先を器用に操ってのパントマイム。実際にはそこにない‥ジュエリーボックスを囲うガラスケースが彼女の手さばきの向こうに見える様だ。そして舞台は暗転し‥次のパートへ。シルバー×黒のキャミソールに黒のショートパンツ、シンプルな黒のヒール。ボトムの後ろ側には羽毛の様な風合いの黒い布をスカート状に垂らしている。そして彼女の黒く長い髪を飾るのは、どこかで見覚えのある‥あのティアラ。ダークカラーの装いの中にあって、殊更にきらびやかな輝きが何とも意味深。次の衣装はダークカラーのシースルー。ワンピースっぽく見えるけれどセパレーツかも知れない‥。トップ部分が毛皮風に仕立てられていて、足元は素足。指し棒つきのアニマルフェイスなドミノマスクを顔に被せたり‥外したりしながらのダンス。瞳を潤ませた切なげな表情を覆い隠すマスクの向こうに、女盗賊としての「顔」と、彼女自身の「素」の部分が目まぐるしく交錯する。(続く)
- 06/21 23:35
- くるりん