全体がオレンジ×ライトグリーンの、くしゅくしゅっ‥とした多層フリルで彩られるロングドレス。上半身のみ、ベースのエメラルドグリーンメタリックがフリルの下に垣間見える。音楽はカーニバル調のインスト曲。小さなステップを速く‥小刻みに繰り出す足元と、伸びやかにうねる上半身との対比が鮮やかだ。ひとしきり踊り‥脱ぎながら袖にハケる。この時、一曲目とは明らかに「方向性が違う」衣装がチラリと見えて、次の展開への期待が高まる。果たしてその衣装は‥白地に小さな柄を散らしたダボシャツに、胸当てがついた和風オーバーオール。一見して江戸の職人風だ。続いては白地に黒い柄の半纏に捩りハチマキ&白のマイクロミニパンツ‥。足元は目映い白足袋の「お祭り男」。粋で鯔背な江戸の男衆が力強く舞い踊る。装いは男衆から、女衆へと‥。淡いピンク色に細い縦ストライプが映える浴衣姿。グリーンの葉と小さな花の柄がストライプの間に織り込まれ‥帯は渋い光沢を放つシャンパンオレンジ。水を張り‥手拭いを掛けた檜の洗い桶を携えている。濡らした手拭いで汗ばむうなじを‥次いで胸をはだけ、乳房を拭く。何ともしどけなく‥色っぽい所作。無防備なその仕草に、まるで生垣の隙間から覗き見している様な背徳感が募る。肌を晒し、しっとり演じた後‥本舞台に下がって雰囲気たっぷりに「終幕」。かと思いきや‥
「てやんでェ!!!」
若い男衆の、キレのある一声。するとノリの良いアップテンポな曲が流れ始め、身を翻しながら一度脱いだ浴衣を再び纏ってゆく。身体の前で結んだ帯を手際よく後ろに廻す。曲のリズムに乗った流れる様な「着付け」は、それ自体がまるでひと差しの舞いのよう‥。やがて完璧に着付けられた浴衣姿で振り返る彼女は‥頬がほんのり上気し、瞳が潤んでいる。軽く膝を折り‥横に伸ばした腕の先で振り袖をヒラヒラと閃かせて可愛らしく「しな」を作ると‥今度こそ本当に「終幕」となる。
- 10/08 18:35
- くるりん