DX歌舞伎町
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●HIKARUさん 2015-05-14 (4th) stage

同じ演目でも、劇場が変わり、照明が変わり、客層が変われば受ける印象も自ずと異なる。

初見は2014年4月結。約一年のインターバルを経て2015年4月中、そして今回の5月中、引退週の5月結‥と、繰り返し見てきたこの演目に於いてもまた然り。

ただ、その変化は、先に挙げた外的要因‥よりも内的要因、つまりは彼女自身の手によるものが大きい。やさぐれ落ちぶれ、酒に溺れたかつての名ダンサーを表現する為に、今回のステージでも様々な「演出」が採られている。

椅子の上で膝を身体に引き付ける様に小さく座りながらグラスを傾けたり。そこから下りてステージを歩く際の千鳥足、後ろ歩きで足元をふらつかせる場面や、ドレスを胸にあてがうシーンではターンを封印してその場に留まり、虚空を見上げる潤んだ瞳だけで心情を語ってみせたり。右手にドレス、左手に中身入りのグラスを鷲掴みにしての盆入り。その後しどけなく演じるベッドショーでは、赤いカーペットに俯せて床に置いたグラスの中身が零れるか零れないかギリギリの所まで傾けてみせたり‥とか。同じ演目内における「酒に溺れる」描写ひとつとっても様々なバリエーションがある事に驚かされる。盆で胡座をかきながら「クッ」と飲み干したグラスを勢い良く後方に放り投げる演出も、最初の頃は無かったんじゃないかな?

演出が「進化」し続けていたのには、最後に演じるその時まで絶え間なく作品をバージョンアップさせたいという想いと、もしかしたら引退ロードに並走してこの演目を多く観る事になるお客へのサービス、という意味合いもあったのかも知れない。

HIKARU史に残る傑作「光と影」は、個人的にも大変思い出深いものとなった。

- 08/28 14:35
- くるりん


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