目映く‥強い光を背景にステージに立っている。逆光で、かつ余りにもオーバースペックな光量故にその姿は判然としない。光の中で身を翻し、静々と花道を進んでくる過程で「全体像」が詳かにされてゆく。ブルー地にオレンジと白でうねる曲線が描かれたダイナミックな図案の和装ドレス。渋いメタリックカラー‥幅広の帯は背中で箱結びされていて、僅かに覗く帯揚げは鮮やかなグリーン。髪はピンクのソバージュ風エクステンションで増量?されていて、和装ドレスの裾を「ぐるり」と廻るオレンジ色の縁取りがされている。やがて花道を辿り、盆に至ると、携えた二本の羽根扇子を切り返して優雅に舞う。最初は畳んだ状態から始め、後に開いて使う羽根扇子の扱いの上手さは当代随一で、宙に描かれる滑らかな軌跡に心地よく眩惑されてしまう。様々な色彩が乱舞するこのパートを終えると一旦袖に引っ込み、次の衣装は一転‥オフホワイトで統一された清烈なものに。白のトップス&白いシースルーの布を無造作に腰に巻いた様なデザインのロングスカート。左脚には踝から腿にかけて白い紐リボンがジグザグに編み上げられている。「単色」ではあるものの凝ったアレンジがされていて、視覚的には大変華やかだ。小柄で華奢でしなやか‥なのに微かに浮かんだ筋肉のカットが実に美しく、彼女の存在そのものが、まるで女性美の象徴のよう。スタイリッシュな舞いの後に転じるベッドショーでは両手を高く差し上げながらのスワンが何か祈りを捧げている様にも感じられて、思わず居ずまいを正してしまう。
- 08/15 23:40
- くるりん