暗闇からスッ‥と明度が上がる場内。盆の上で背中合わせに座り込むハモンセラーノの二人。シースルー‥ブルーグリーンのロングドレスが玲来嬢。ピンクのシースルーがましろ嬢だ。ドレスのスカート部分に崩した脚を隠す玲来嬢に対して、ましろ嬢は長い脚を真っ直ぐ前に投げ出している。顔の凹凸に沿って貼り付く様な大振りのドミノマスク。デザインこそ違うものの‥両方とも派手なレリーフやデコレーションで彩られ、ふんわりシフォンな感じのドレスとは明らかに様相を異にしている。掌にズシリと重い大粒のダイヤを手に瑞々しく舞い始めるましろ嬢と‥もうひとつ覇気のない玲来嬢。足元に転がるダイヤを拾い上げてましろ嬢が玲来嬢の手にそっと握らせると「それ」でスイッチが入ったのか‥みるみる動きが瑞々しく、アクティブになってゆく。時にソロダンス‥時にペアダンス風に「くっついたり〜離れたり」を繰り返し‥踊り戯れながら本舞台へ。そこには背の高い‥キャスター付きの黒いパイプハンガーを黒い布で飾りつけた「枠」が置かれている。手前には中をクッション素材で埋めた白いバケツ。その側を通り過ぎる刹那‥掌からこぼれ落ちた二人のダイヤが「音もなく」吸い込まれる‥。黒い枠を巡る様に二人が舞う。その途中で一人が枠の中へ滑り込み‥一人がその姿を見失う。所在なげにさ迷わせた視線の先に悪戯っぽく微笑む相方の姿を見つけて安堵したり‥楽しげな「追いつ〜追われつ」といった展開が続く。もしかしたら黒い枠は「鏡」のメタファーなのかも知れない。鏡面のこちらと向こうを「行きつ〜戻りつ」する可愛らしい二人の妖精は、やがて鏡に掛かるえんじ色のカーテンをシュッ‥と引いてその向こう側で着替え、そしてお揃いの「白ブラ+ビスチェ+ミニスカート」姿で現れる。足元は白のショートブーツ。縦ストライプのビスチェは、白×グリーンが玲来嬢‥白×ピンクがましろ嬢‥と「らしい」配色が割り振られている。ここからよりアクティブなダンスパートへ。そして件のダイヤ(多分パワーストーン的な意味合いと思われる)や黒い枠を絡めて「二人の物語」を紡いでゆく‥。
サイドストーリー的な筋書きを追ってこのファンタジーを楽しむ事も出来るけれど、それよりも、瞬間瞬間に現れては消えてゆく二人の表情や瑞々しい所作‥愛くるしいムーヴをありのままに愛でる事が、この作品に対しての「最上の鑑賞法」である様な気がする。女の子の夢と爽やかなエロスが弾ける好演目。
- 05/08 22:30
- くるりん