DX歌舞伎町
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●DXK [digest] 2014-01/23 [2/2]

【川中理紗子さん】照明が落ちて、薄い闇に沈む本舞台。奥の壁に向かい‥膝をついている。高く掲げられた腕の先には大きく拡げられた一対の羽根扇子。連なって一つの円環を成すその半円は‥日輪の様にも、蝶の羽の様にも見える。曲が掛かり、暗転が解かれると、振り返りつつゆっくりと立ち上がる。その流れに乗って伸びやかに宙を滑り始める白い羽根扇子は、かなりの大きさ。動きは、単に美しい軌跡を描く‥というものではなく、まるで別の生き物の様に艶かしい。ステージ後半のベッドショーに於いても、折り畳んだ一本の羽根扇子で流れる様に舞いながら、その途上‥盆に置かれたもう一つの扇子をピックアップして更に滑らかな舞いに繋げてゆく等、大変に練度の高いムーヴが目を惹いた。多彩なバリエーションと、込められたニュアンスの繊細さ‥。彼女に比肩する「羽根扇子使い」は、そうはいないんじゃないかな。

【豊田せりかさん】バレエ調の跳躍&ターン。前屈みで腕を振り、足を踏み鳴らすタップ風のダンス。本舞台の幅一杯に転がって見せたり、横臥しつつ伸ばした脚を空中で交錯させるローリング・クレイドル的なムーヴを披露したり。様々なバリエーションが、まるでダンスパートのショーケースを見ている様な異色作「座頭市」を拝見。この演目を観劇するのは約三ヶ月ぶり、10ナカのSNA以来となる‥。生まれたての演目故の「粗さ」や「迷い」といったものが見事に払拭された今回のステージは「圧巻」の一言に尽きる。特に四つん這いで膝をついた状態から伸び上がり、片足を高く突き上げて「人」の字を作るムーヴが素晴らしかった。ベッドショーの終盤‥花道で決めるY字バランスの美しさも特筆モノで、個人的にはもう何も言うことはない。彼女の全ての作品を見ている訳ではないけれど、この演目は傑作のひとつに数えて良いんじゃないかな、と思う。

【葉山瑠菜さん】聞き覚えのあるフレーズ。だけど何処か間延びした‥ゆったりしたリズム。MJのヒットチューンをレゲエ調にアレンジした曲に乗せて白ずくめの彼女が舞い踊る。キビキビとした身体の動き。ナチュラルに踊ったら多分キレ過ぎる位なんだろうけれど、まったり流れる曲調が上手くブレンドされて絶妙な味わいに仕上がっている。その反動なのか、ベッドショーで繰り出されるノーモーションからの連続ポーズは流石の切れ味。全力で駆け抜けた引退ロードの最中‥ほんの一瞬でも立ち会えた事を嬉しく思う。

- 02/06 08:00
- くるりん


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