2018年11月8日(木)浅草リトルシアターに行って艶絵巻11月公演(11/7〜10)の2日目を見てきました。
新作3本立てで、それぞれの表現者の個性が光ったステージでした。以下、簡単に。
1「卍(まんじ)」谷崎潤一郎原作。出演:川合瑞恵(かわいみずえ)・さかき藍(あおい)
良家の主婦で美術学校の生徒である園子と、そこで知り合った光子を中心とした長編小説(昭和6年(1931)刊)。
照明がつくと、舞台に薄紫の着物に赤い帯の園子(さかき)と、淡い黄色のワンピの光子(川合)の2人が
美術学校の話をしています。やがて口論になり、そして二人裸になって妖しく美しく絡みあい…
今日のLGBTの問題を先取りしたような話ですが、それにしても
二人の女性の会話が美しい日本語ですね〜今日ではほとんど聞かれなくなったのが残念ですが。
2「大人の掟(おきて)」鈴木ちさ脚本・演出・出演・照明と4役。出演は他に黒崎優、中谷中(なかたにちゅう)・森
健太郎
照明がつくと舞台に若い男女(中谷と黒崎)いかにも結婚間近。
さて次の景では職場の男女(中谷と鈴木)こちらも仲が良さそうです。そして…
山□百恵の「絶○絶命」をバックに
コミカルでシリアスな人間模様。
そのあと椎名○檎の歌に乗って
女2人、火花を散らすようなダンス・デュエット。おみごと。
3「妖婦お定」山口六平脚本。出演:朱魅、森健太郎
(注)阿部定(あべさだ)事件。昭和11年(1936)5月、芸者などをしていた阿部定(1905〜1987?)が恋人
石田吉蔵と道行きの末これを絞殺し、その局部を切り取ったという事件。
新聞はセンセーショナルに報道し、大衆も暗い世相〜この年2月には226事件があった〜を一時的に忘れさせてくれる
この事件に狂喜した。裁判では痴情の末と判定され、定は懲役6年の判決を受けて服役。昭和16年恩赦により出所。
戦後になっても事件への関心は薄れず多くの出版物や映画・ドラマが作られたが
織田作之助の小説「妖婦」(1947)や大島渚監督の「愛のコリーダ」(1976日仏合作)もこの事件をモチーフとしている。
なお戦後まもなく浅草で舞台化され、定自身が主役を勤めたが、詳細は不明。
有名な事件ですが、艶絵巻としてはこれまでと違った視点から、戦後まもなく本人主演で舞台化されたという事に
スポットを当てて描いたそうです。
照明がつくと、
メガネをかけた演出家の先生(森)と洋服姿のお定(朱魅)の2人、舞台化の打ち合わせをしています。
演出家が質問し、お定が答えるという形だったのですが、お定の
可愛いところ、エロいところ、ピュアなところ、きわめて冷静なところ、天然なところ…
次第に演出家は(そして観客も)その存在感に圧倒されていきます。
そのあと朱魅さん、宇崎○童の歌で静かにダンス。
いつになくしっとりした踊りが印象的でした。拍手。
なお艶絵巻は今年は今回がラストで、来年から毎月公演になるそうです。
- 11/16 13:36
- 見物人