関東速報
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●「浅草艶絵巻 9月公演(前)」レポ 

2019年9月11日(水)浅草リトルシアターに行って今月の艶絵巻前半(9/11〜14)の初日を見てきました。
今回は新作を含む3作品で、それぞれが深い。読書の秋、芸術の秋、じっくり人生を考えたくなる一時でした、以下、簡単に。

1「明烏(あけがらす)」藤沢周平原作。出演:水月涼、山口六平
「江戸おんな絵姿十二景」第9話「明烏」を朗読劇にしたもので、2017年11月に美樹うららさん、2018年1月に黒崎優さん主演で演じられた演目
に、朗読は初めてという水月涼さんがチャレンジ。ということでしたが、中々どうして堂々とした花魁(おいらん)ぶりでした。
三味の音が流れ、照明がつくと舞台上手に水月涼さん青を基調とした花魁衣装で、下手に山口六平さんグレーの作務衣だったかで、並んで腰掛けています。そ
して二人交互に朗読していきますが、芝居とはまた違った味わいがあります。
分不相応な吉原遊びをしたため家屋敷が人手に渡ることになった雪駄(せった)屋の新兵衛と、相方の花魁 播磨との会話。
後悔など少しもしていない、と言い切る男。
大勢のファンの一人にすぎない男にドラマがあったことに今更のように衝撃を受ける女。
2人の語りが、粋です。 
新内(しんない)節「明烏夢泡雪」(浦里・時次郎の物語)や、それをパロディーにした落語「明烏」を意識しての
小説そして朗読劇ですが、同様のことはいつの世にもあったろうし、これからもあることでしょう。
「春風の、眠ればそよと起こされて、乱れそめにし浦里は…新内の声は「明烏」だった…」
そのあと涼さんの踊りになります。艶やかに、凛として。

2「如実知自心」鈴木ちさ脚本。出演:黒崎優・森健太郎・鈴木ちさ
昨年9月にちささんご本人主演で演じられたものの演出を変えて再演です。
一番の違いは前回登場した男性の僧侶が、今回は尼僧になったこと。
さて物語は現代の若い夫婦〜トシとマイと言ったかしら〜の会話から始まります。
休みの日は朝ごはんはパンが良いとか、やさしい夫(森)と、かわいい妻(黒崎)。そして愛犬サスケ。
日常的な、あまりに日常的な光景。絵に描いたような、しあわせ。
玄関のチャイムが鳴ります。
尼僧(鈴木)が登場。トシの姉で寺の住職をしているとか。
そしてトシが席をはずした時に
「マイちゃん、今日はあなたにお話があって来たの」
物語は急展開。心理劇かSFか…怖いくらい、深くなります。
如実知自心〜ありのままに受け入れる。タイトルの意味が次第にわかってきます。そしてラストに希望が。
それにしてもちささん、尼さん姿が似合っていますね。

3「杉村サダメ」山口六平脚本。出演:朱魅・森健太郎・山口六平
(注)杉村サダメ(1911〜1970)戦後、ホテル日本閣殺人事件の小林カウに次いで2番目に死刑になった女性。艶絵巻の妖婦シリーズの新たなメン
バーですが今までの夜嵐おきぬ、高橋お伝、阿部定、小林カウの誰とも違っています。拘置所で仏門に入り、その人柄が他の受刑者や看守たちからも慕われ
様々な身の上相談まで引き受けるようになっていったとか。冤罪で有名な免田栄氏の手記にも彼女に会ったことが書かれているとか。

1景 サダメ(朱魅)と教誨(きょうかい)師(森)
拘置所の庭でゴミ拾いをしているサダメ。そこに教誨師が現れ、会ってほしい人がいると話します。
2景 サダメと死刑囚の男(山口)
冤罪を訴え再審請求したが却下され自暴自棄になった男だが、しだいにサダメに心を開いていきます。
そして面会時間の終了間際、また会ってほしいと頼みます。笑顔で了承するサダメ。
3景 男2人の静かな会話。
その後、自然な流れで朱魅さんおだやかな笑顔で再登場、そして「川の流れのよ○に」に乗ってダンスショーになっていきます。もう、超えているって感じで
すね。

引き続きカーテンコール、メンバー紹介になります。拍手・手拍子。
そんなふうにして終わりました。劇場を出たのは午後9時少し過ぎ。

- 09/23 17:31
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