関東速報
[投稿する]
●「浅草艶絵巻 7月公演(前)」レポ 

2019年7月17日(水)浅草リトルシアターに行って艶絵巻の今月前半(7/17〜20)の初日を見てきました。おなじみの女優陣で、4作とも再演で
したが新しい演出が加わったりして更に艶やかになっていました。以下簡単に。

1「恋愛の微醺(びくん)」林芙美子原作。出演:美樹うらら。
今年4月にやったものの再演です。モーツァルトのピアノ協奏曲が流れ、照明がつくと、恋愛クリニックのウララ・ミキ先生が白衣姿でにこやかに登場。「皆
さんは恋をしていますか?」
そして林芙美子の随筆「恋愛の微醺」を教材にしながら恋愛講座になります。現代人にはいささか物足りない気もしますが、あえてそれを選んだのでしょう。
読み終えて本を閉じるとウララ先生、「でも私はどろまみれの恋愛が好き」
と言っていったん引っ込みます。
ここで浜田マ□ンのやさぐれた雰囲気の歌が流れ、ウララ先生再登場。踊りになります。初めは静かに、しだいに大胆な動きに。
白衣の下は黒のタイトミニで、その下の真紅の下着が優等生の心の奥底のエロさを表しているようでした。拍手。

2「疑惑」志賀直哉「范の犯罪」より。出演:黒崎優、森健太郎、山口六平。
2017年8月(黒崎優さん主演)9月(柏木由紀奈さん主演)にやったものの再演です。
中国風な音楽が流れ、照明がつくと黒崎優さんスリットの入ったセクシーな赤いチャイナドレスで可愛く登場。
続いて現れた白い中国服のモリケン氏と、ナイフ投げの場面になります。
1投、2投と投げる男(ふり)、ぎりぎりで受ける女。そして運命の3投目。女は首を押さえて倒れ込みます。暗転。
照明がつくと昔の判事の衣裳を着た山口氏がおごそかに登場。
これが故意か過失か、容疑者(チン・チクリン)に質(ただ)しますが。本人にも解らないとか。
そこへ死んだ妻(インラン)の幽霊が現れ、夫と口論。浮気したとか、してないとか、あんたこそとか…舞台をかけ回って
コミカルに展開。おたおたする判事。このあたりシェークスピアの喜劇を見ているようです。やがて誤解は解けて…
一旦暗転、女性ボーカルで「君恋し」が流れ、黒崎さん羽根扇を持って静かに再登場。
大人の雰囲気で妖艶に舞います。拍手。

3「夜を巡る女」より「マリリンの夢」牧瀬茜脚本・出演。
今年3月(後半)やったものの再演です。
照明がつくと牧瀬さん黒いスリップで裸足で登場。舞台中央に立つと、かすかな笑みをうかべて静かに語り始めます。
色々あって〜これが性愛論にもなっているのですが〜ソープ嬢(源氏名がマリリン)になったこと。そこで出会った大勢のお客。
大きい人、小さい人、なかなか行かない人、年齢を聞きたがる人、中出しを求めてくる人、などなど。それらの
客の対処など、まるで実体験のように語っていきます。終わり際
「私は売られてきたわけではないけれど。でもこの歌が好き」と言って
「星の流れに 身を占って…」とアカペラで歌います。歌いながら踊ります。そして踊り終わると一言
「本当は誰かの腕の中で、朝まで眠ってみたいな」暖かい拍手。
なお牧瀬さん19日・20日は同シリーズの別の作品で5月にやった「傷ついた男」を上演するそうです。

4「品川心中」古典落語より。出演:朱魅、森健太郎、山口六平。
2017年11月にやったものの再演です。
初め山口氏が着物姿で出てきて物語をざっと説明します。江戸時代の品川宿の遊廓、白木屋の板頭(いたがしら/吉原で言う花魁)のお染もかつての人気はな
く紋日(もんぴ/遊女が挨拶回りをする日)に必要な60両の金が工面できない、生き恥をさらすより死んでしまおう、それも心中が良い、相手は誰がいいか

このへんで舞台後ろにお染(朱魅)が登場、なじみ帳を見ながらふさわしい人物を捜します。やっと見つけたのが貸本屋の金蔵。
お染「あの男なら根がバカでスケベで大食らいでヘンタイだから」この台詞、なぜかリアリティーがあります。
そして手紙を書こうと「誰かぁー」ここでPAのことねちゃん紙を持ってきて「人手が足りないので」(笑)拍手。
そしてお染「恋しい恋しい金さんへ…」と書いていきます。書きながら自分で吹き出したり。
さて手紙を受け取った金蔵、すっかり真に受けて有頂天。後はごぞんじの展開。
金蔵役のモリケン氏、赤フンドシ1丁になって大熱演。よっ、日本男児!
芝居のあと、
「会津磐梯山」が流れお染姐さん着物をばっちり決めて再登場。
乗り乗りの舞いで令和を寿(ことほ)いでくれました。拍手。

このあとカーテンコール、メンバー紹介。そのあと山口氏に促されて牧瀬さん「私いよいよ詩人になりまして…」と自作の詩集の紹介。
そんなふうにして盛り上がって終わりました。場内はいつものように出演者と話をするお客たちで混雑しています。
詩集は売れ行き好調。私も1冊(1500円)買って劇場を後にしました。午後9時15分頃。

帰宅後、牧瀬さんの処女詩集「うみにかえりたい」さっそく読んでみました。ほのぼのとしたイラストと相まって
ふしぎな透明感のある詩集になっていました。
〜微視的と巨視的、リアルとファンタスティック、絶望と希望が共存していて。

- 07/22 22:56
- 行った人


0.HOME