関東速報
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●「浅草艶絵巻 6月公演」レポ 

2019年6月12日(水)浅草リトルシアターに行って艶絵巻(6/12〜15)の初日を見てきました。初出場の久我かのんさんが加わった女優陣4人
で、時代も境遇も違った〜そしてそれぞれが可憐で健気な〜4人を演じていました。以下簡単に。

1「ロリータ」山口六平脚本。出演:久我かのん、山口六平。
山口氏の前説(まえせつ)で、ウラジミール・ナボコフの小説「ロリータ」は有名だが、この演目はオリジナル脚本で、未来のレプリカント〜人間以上の能力
を持った人造人間〜を主人公にしたものだと説明。1月のReplicantや4月のEternal
lifeなど、未来ものが艶絵巻の中の1つのジャンルになってきているようです。
重厚な音楽が流れ、照明がつくと青いドレスの少女が椅子に腰掛けています。色白・小顔で身じろぎ一つしません。すでに何やらオーラが漂っています。そこ
へ白衣を着たドクターX(山口)が入ってきて「ロリータ、おはよう」「オハヨウゴザイマス」そして診察が始まります。様々な質問に少女は的確に答えてい
きます。だが普通の患者ではないようです。
次第にこの子はレプリカントで、元の所有者によって破壊されたのをドクターXが修理したのだ、ということがわかってきます。
人間ではないものの視点から見ることによって、かえって人間の心の闇が浮き彫りになっていきます。そして
「アナタモ私ニ恋ヲシテイマス」と言い当てられ、恥ずかしがるドクターX。(このあたり、かすかにピグマリオンが入っているような)深くて、甘美で、考
えさせられる物語でした。
それにしてもかのんさん、初演にしてすでにはまり役ですね。

2「皮膚と心」太宰治原作。出演:Otoki。
3〜4年前、灯月いつかさん主演で3人でやったものを、演出を変えてOtikiさんの一人芝居で再演。
悲愴ソナタが流れ、赤い着物姿のOtokiさん登場。戦後まもなくの、若妻のようです。そして胸にこんなふきでものが出来て…と独白。それがしだいに広
がっていって…と、不安から様々な妄想をしていく様子がほぼ原作通りに進んでいきます。自分のことを「まるでオバケ」と言ったり。深刻な筈なのにどこか
コミカル。 
かと思うと泣いたりわめいたり、優しいご主人に甘えたり。
そしてご主人が病院に連れて行ってくれます。ここでも様々な妄想が。結局、注射1本で直るのですが、
その時のはじけるような笑顔。そして踊りになっていきます。子供のように無邪気に可愛く。

3「風立ちぬ」堀辰雄原作。出演:黒崎優。
3月の再演です。黒崎さんブルー系のワンピで登場。物語をざっと紹介します。昭和10年ころ。夏の軽井沢のサナトリウムを舞台に、作者堀辰雄の分身であ
る「私」と肺結核を病んだ婚約者矢野綾子(作中では節子)の二人の純愛。
説明したあと優さん感想を交えながら朗読していきます。
しだいに弱っていく婚約者と、優しく看病する「私」。死と向き合うことによって、生とは何か、幸福とは何か、ということが見えてきます。文中どことなく
漂うハイソで知的な雰囲気。なお当時、肺結核は不治の病と怖れられていた一方で、肌の色が白くなって体がスリムになってかっこいい病気とも思われていた
そうです。
ラストは優さんピンクのロングドレスで「今はこんなに悲しくて 涙もかれ果てて…」に乗って優雅にダンス。

4「夜嵐(よあらし)おきぬ」出演:朱魅、森健太郎、山口六平。
日本情緒なメロディが物悲しく流れ、赤ん坊を抱いたおきぬ(朱魅)が「ねんねんころりよ…」と歌っています。
そこへ看守(森)や後見人(山口)がやって来て、と先週とほぼ同じ展開。
赤ん坊を奪われ、泣き叫ぶ場面は更にリアルに。
そして中間部。アドリブ満載でコミカルに。そして
仕切り直し。拍子木の音1つで後半になります。
おきぬ最期はかっこよく
「夜嵐の さめて跡なし 花の夢」と辞世。
そして踊りになっていきます。乗り乗りの祭りの乗りで。拍手。

このあとカーテンコール、メンバー紹介、と盛り上がって終わりました。午後9時15分頃。

- 07/17 10:08
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