関東速報
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●「浅草艶絵巻 2月公演」レポ 

2019年2月15日(金)浅草リトルシアターに行って艶絵巻(2/13〜16)の三日目を見てきました。
今回は新作や初出演の人も多く、艶絵巻シリーズの新たな可能性を感じました。以下、簡単に。

1「蜘蛛の糸」芥川龍之介原作。出演:水月涼(みずきりょう)、朱魅、オーバメヤン
艶絵巻では何回も上演されている演目ですが、今回は初出演の水月さんがお釈迦様、お笑いライブ若手芸人のオーバメヤン君がカンダタ、そしてナレーション
が朱魅さん。
照明がつくと朱魅さん渋い赤色のワンピで登場。「ある日のことでございます…」と語り始めます。そしてお釈迦様が慈悲深いまなざしで登場〜お釈迦様とい
うより観音様か天照大神みたいですが。そんなふうに始まります。
地獄の場面ではオーバメヤン君が体当たりの熱演。後は御存じの展開。
ラストでは朱魅さん一礼して去り、残ったお釈迦様が静かに神々しく舞います。
人間の代表であるカンダタに、かすかに希望が見えたように感じたのは私だけでしょうか。

2「蜜のあわれ」室生犀星原作。出演:黒崎優、中谷中(なかたにちゅう)
今回初演です。室生犀星の晩年の幻想的な作品で、一昨年には同名で映画化(主演:大杉漣、二階堂ふみ)。    
老作家(中谷)と少女の姿をした金魚(黒崎)との不思議な生活。
暗転の中、花のワルツが軽やかに流れ、照明がつくと
黒崎さん赤いドレスで可愛く登場。そのあとボサボサ頭の老作家がやってきます。
金魚は老作家を「おじさま」と呼んでいます。
無垢で天真爛漫で、ちょっとあぶなっかしくて、そしてコケティッシュ。
これはSFか夢の中の話か、何かの暗喩か、なんて考える間もなく
観客は物語世界に引き込まれてしまいます。
芝居の後は黒崎さん今の赤いドレスでヒラヒラと泳ぐようにダンス。ほんとうに金魚に見えてきます。

3ダンスステージ。水月涼さん再登場、
R○Nの「飛○」に乗って日舞。略式の花魁衣裳のような着物ですが神々しさは先程のお釈迦様とつながっているようです。
2〜3曲目はしっとりと、艶やかに。

4「ホテル日本閣殺人事件」山口六平脚本。出演:朱魅、さかき藍、森健太郎、まさ
昭和35年(1960)栃木県の塩原温泉で実際にあった殺人事件で、1984年には「天国の駅 HEAVEN
STATION」の題で吉永小百合主演で映画化もされています。艶絵巻では山口氏の脚本で今回初演。
照明がつくと、時代を感じさせる籐(とう)製のテーブルと椅子。そこに着物姿の旅館経営者夫婦(さかき、森)と、この旅館の買収をはかっている洋服姿の
女 カウ(朱魅)。
婿養子の夫を軽蔑している妻と、心を病んでいる夫の、どろどろした愛憎(ほとんど憎)をお二人実に好演。
そして初出演のこれも若手芸人のまさ君、この旅館で働く無口なボイラーマンをうすきみ悪く好演。
登場人物の全員が悪人というのも艶絵巻史上たぶん初めて。
もう、救いようのない人間ドラマですね。そこが面白い。悪の魅力。
推理ドラマでもあるのでこれ以上は(^^;
ラストで再び4人そろいます。そのあと一人残った朱魅さん、気位高く妖艶にダンス。

カーテンコールでは司会の山口氏を含めて9人全員集合。メンバー紹介。それぞれに拍手。
なお艶絵巻3月は2週(3/13〜16、20〜23)上演されるそうです。

- 02/18 10:20
- 行った人


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